ネオピア百科事典若きライシュの物語

ミステリー・アイランドのバトル道場の先生になる幾数年前は、ニンモのライシュも長老テコ先生の門下生でした。若い頃はライシュはとても手の焼ける生徒で、とても傲慢(ごうまん)で無礼極まりなく、テコ先生の教えは全く耳も貸さないほどです。頭の中にはいかにしてクラスをさぼるかをあれこれ考え、浜辺に向かって走っている自分の姿をボーっと浮かべたりしていました。

ライシュはミステリー・アイランドの砂浜に完全に魅了されていました。ザザーッと静かに揺らぐ水、つま先の指の間からこぼれ落ちる砂、背中にチリチリと心地よく当たる陽射し。


ライシュはよく砂浜でたたずんでは砂の上に美しい俳句を綴っていました。ライシュの俳句はミステリー・アイランドの風、砂、太陽、そして海に対する切実な想いを実に如実に表していました。一つ俳句を書き終えるたびに、その叙情的なささげ物を小波がさらい流すのを見て喜びました。


ペオフィンたちが遊んでいるオマーラ・ベイで泳ぎたいといつも切望していました。しかし、ライシュの飼い主はバトルドームが開催されるまでに戦闘能力を十分に上げておきたいと言い張るので、まだ願いは叶っていませんでした。

ある日ライシュが速さを鍛えるクラスでみんなが休憩している時、テコ先生はライシュの人生をガラリと変える提案を出しました。


「ライシュよ、」テコ先生は気まぐれな生徒であるライシュに近づいてきます。

「お前が砂浜や小波のことをいつも考えているのはわかっておる。そしてトレーニングにあまり関心が無いこともな。しかし、お前にきちんと武道を学んで欲しいというお前の飼い主の望みも分かってやるべきだ。

そこで提案がある。バトルドームの予備試験が来週行われるのだが、その試験に無事合格したら、お前に一週間の休暇をやるとしよう。バトルドームのトレーニング一切なしじゃ。どうだ?」


ライシュの目は大きく開きパァーッと輝きました。師匠の言っている言葉を疑いました。嬉しい驚きで思わず目がくらみそうになりましたが、たち直って返事をしました。


「師匠の提案は大変寛大です。試験に受かるだけでなく、クラスで一位のスコアで修了します。約束します。」


砂浜で陽気に飛び跳ねている自分を想像しながら(そしてもちろん大口を叩いてしてしまった大きな約束を守れるか心配しながら)、熱狂的な活力で稽古に励みました。パンチを繰り出すごとに強烈な波が砂浜に打ち寄せ、ブロックするごとに美しいヤシの木が涼風乗って揺れている風景が頭に浮かべます。そして足払いで対戦相手を倒すたびに、荒い引き波で力を失った敵が海に引き込まれる場面を心に描きます。


この鮮烈な方法で稽古をしている姿を目にしたテコ先生は、ライシュの瞳の中に宿る強靭さを察知しました。


「ふむ、ライシュよ。お前はとても大事な教訓を学んだようだ。バトルドームの稽古が砂浜への道を阻むなら、砂浜をバトルドームに持ち込めばよいのだ。」


約束通り、ライシュはバトルドームの試験に楽に合格しました。トータルのスコアでは残念ながらクラスで一番にはなれませんでしたが、それでも全てのカテゴリーで上位3位に食い込んでいたため、先生はもちろん他の生徒みんなからも多大な敬意が払われました。


さて、無事試験を合格したライシュは、オマーラ・ベイでの至上の一週間を過ごしに出かけます。家に走って帰って支度をしました。一週間バトル道場から離れられるかと思うと、ウキウキしてついつい嬉し涙が出てきてしまいます。食べ物と寝袋を手早くバッグに詰め込むと、オマーラ・ベイに向かって飛び出しました。


オマーラ・ベイに到着すると同時に水に飛び込んで岩を過ぎると、大好きなペオフィンたちと一緒に踊りました。そして絶壁のテッペンから、バク宙したりサマーソルトをしながら海に飛び込んだりして楽しみました。


そしてシュノーケルの用具を取りに浜辺へ戻りましたが、そこで一旦休憩しました。


「うーん、待てよ。一日にやりたいこと全部やっちゃったらもったいないな。明日のためにとっとかなくちゃ。日も落ちることだし、そしたら寒くなるだろうしな。」


それから浜辺に残ることにし、たき火を炊きました。美味しいローストをたき火で焼いて食べた後、寝袋に入ります。バトルドームの試験と何時間も浜辺で遊んだせいで疲れていたライシュはすぐに眠りにつきました。


・・・そして次の朝。耳障りなけたたましい騒音でライシュは目を覚ましました。なんとミステリー・アイランドが攻撃を受けているんです!!!


「なんてこった!せっかくの浜辺でのバケーションが台無しだ・・・。でもボクの愛するミステリー・アイランドの自由を守るためには、しなきゃいけないことがある!」


ライシュは急いでミステリー・アイランドの武器屋に駆けつけ、バトルドーム認定の他の戦士たちの中に混ざりました。小隊に分けられたミステリー・アイランドの市民軍は自国を守るために出陣しました。戦いは非常に激しく、両国ともに多数の犠牲者を出しましたが、ミステリー・アイランドは何とか自由を保つことができました。奮闘の中の勇気と功績を認められ、ライシュはテコ先生から武勲のメダルを与えられました。


そのメダルは、現在先生となったライシュがそれから受け取る数多くのメダルの第一個目となるのでした。ライシュは今でも暇があれば砂浜に出かけて遊んだり俳句を綴ったりしていますが、愛するミステリー・アイランドを守る準備を常に心がけているのです。



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