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「ここで時間をつぶしてる暇はないわ。行くわよ。装置は誰にも触れない、メリデル兵も、ダリガン兵も。」
そう言うが早いか、ノルンはダリガン兵が襲撃している現場へと向かった。
ヴォルテクシスも後に続こうとしたが、装置のことが気になってその場を動くことができなかった。
(父さん・・・)
ヴォルテクシスは無意識のうちに装置に近づき、手を伸ばしていた。
その時、ヴォルテクシスにはなぜか装置に触れても大丈夫だ、という理由のない確信があった。
(なんだ・・・?温かい・・・?)
ヴォルテクシスが装置に触れると、装置はドクドクと脈打つような温かさがあった。
(父さん・・・)
ヴォルテクシスが頭の中で呼びかけると、装置が光り輝き、不思議な膜に包まれた。
その瞬間、ヴォルテクシスの頭に映像が写りはじめた。
(・・・!?これは、父さんの記憶・・・!?)
その映像は、ダリガンの領地の中で装置に改良をさせられている父の映像だった。
ヴォルティの顔や体にはたくさんの傷があり、とても痛々しかった。
(父さんは、ダリガンに捕まっていたんだね・・・)
映像の中の父に涙を流すと、ヴォルテクシスは映像の一部に父のメッセージがあることに気が付いた。
ダリガン兵には気づかれないよう、しかしヴォルテクシスがこれを見てくれることを信じて、残された言葉だ。
「装置・・・破壊・・・否・・・持ち帰り・・・戦え・・・守りし者・・・助けなり・・・」
ヴォルテクシスは思わず言葉を口に出していた。
「父さん、すぐに助けに行くから。メリデルを救うから・・・」
ヴォルテクシスは装置を抱え、ノルンが向かった方向へ飛び立った。
* * * * * * * *
「ノルン様!これではもうもちません!」
「弱音を吐くんじゃない!くそっ!ブライトベールの兵はまだか・・・」
先にメリデルへと到着したノルンだったが、メリデルが破られるのは時間の問題だった。
「ターマクルスに負傷された兵が多すぎる・・・どうにもならないのか・・・」
ノルンが表情をゆがめたとき、メリデルのバリアが一瞬強まった。
「!?何が起きた!?」
ダリガン兵はその変化に気づきざわめき始めた。
するとその後方から光り輝くヴォルテクシスが現れた。
ダリガン兵はヴォルテクシスに攻撃しようとするが、バリアにはじかれてしまった。
「ヴォルテクシス!!」
ノルンが叫ぶとヴォルテクシスは彼女の前に降りてきた。
「そ、装置が・・・」
ノルンは自分の目を信じられなかった。
装置が持ち主を選び、守ろうとしているのだ。
ヴォルテクシスを、そしてメリデルを。
その後はメリデルの優勢が続き、ブライトベールからの増援もあり、ダリガンの兵は一掃された。
装置の威力は偉大で、ダリガン兵は次々とつかまったが、装置の力はどこか悲しげに泣いているようだとノルンは思った。
ダリガンの幹部に、今回メリデルに攻め込んだ反乱軍を引き渡した後、ヴォルテクシスはメリデル中に祝福された。
あれだけヴォルテクシスを馬鹿にしていたカスルも彼を祝った。
しかしヴォルテクシスはどこか遠くを見つめたままだった。
* * * * * * * * *
あの事件から3ヵ月後、ヴォルテクシスは長い休養を与えられ、自宅で過ごしていた。
周りの人はヴォルテクシスを褒め称えるが、本人はそんなことを気にしていられなかった。
「父さん・・・」
すると、ドアがコツコツとたたかれる音がした。
「はい・・・えっ・・・!!」
ヴォルテクシスがドアを開けると、そこには父ヴォルティが立っていた。
両隣にはカスル、ジェランもいる。
「ダリガンの地下室から見つかった。遅くなってすまなかったな。」
「ただいま、ヴォルテクシス」
ヴォルテクシスは泣いて父に抱きついた。
「おかえり、父さん!!」
それからメリデルを守る装置のバリアは、やさしさと喜びに満ち溢れた温かい光に変わったのだった・・・
~FIN~
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